打海文三の「愚者と愚者(上)野蛮な飢えた神々の氾濫」を読みました。これは、「裸者と裸者」の続きです。
佐々木海人は、21歳。常陸軍の大佐で、孤児部隊の司令官である。月田桜子は爆弾テロで死亡。今は椿子一人が、パンプキン・ガールズを指揮している。
東京は、旧政府軍・宇都宮軍・仙台軍・常陸軍の4軍が平和停戦を行い、暫定統治評議会が成立した。だが、テロは続く。外国との戦いなら、平和条約が調印されれば、その時から爆弾が飛んでくることは無い。だが、内戦の場合はそうはいかない。軍隊や兵士は、自分たちを養うためにも戦いを止めるわけにはいかないし、利権を得るためには権力を握らなくてはならないからだ。
常陸軍はシティの選挙を成功させた。選挙権は、住民登録をした18歳以上の全ての日本人と外国人に与えられた。
だが、軍隊の中にも住民たちの中にも、様々な差別が存在し、それが争いの一つの種になった。最初は、ゲイの兵士への虐待と差別。常陸軍や外人部隊にもそれはあったが、海人達は差別を許さず、差別主義者を排除し、部隊を編成しなおした。
だが、ゲイを標榜する指揮官が率いる「黒い旅団」が現れた。彼らは、男であることを強調し、女は守られるべきであり、戦闘に女は参加すべきでないとしていた。彼らは、有能な指揮官の下で勢力を増し、松本・甲府から中部へと攻め入り、各軍隊のゲイ兵士と呼応して内部分裂をさせて勝ち進み、とうとう首都圏へとやってきた。
対するは常陸軍と同盟の4軍。彼らは、首都圏を守ることができるのだろうか?。
この本を読んで、今のイラクの情勢を考えた。確かに戦争は終わったが、テロと内乱は未だ続いている。この本に書かれているのは、架空の日本だが、世界各地ではこれと同じような戦闘が続いているのだ。
ここに書かれているのは、性差別とジェンダーによる嗜好の差別。ほんのちょっとしたことでも、差別の対象にはなる。人種差別、民族差別、宗教差別、等々。全ての差別を許さず、公平な選挙を行い、平和な国を取り戻すのは簡単なことではない。
ここには、アメリカの武器商人も出てきた。一世代も二世代も前の古ぼけた武器。それはアメリカ軍には売れないが、遅れた紛争地域になら売れる。そうやって、売られた武器で多くの人々が傷つき、死んでいく。それも、やはり世界の現実だ。
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