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2009年7月 3日 (金)

愚者と愚者(上)

打海文三の「愚者と愚者(上)野蛮な飢えた神々の氾濫」を読みました。これは、「裸者と裸者」の続きです。

 佐々木海人は、21歳。常陸軍の大佐で、孤児部隊の司令官である。月田桜子は爆弾テロで死亡。今は椿子一人が、パンプキン・ガールズを指揮している。

 東京は、旧政府軍・宇都宮軍・仙台軍・常陸軍の4軍が平和停戦を行い、暫定統治評議会が成立した。だが、テロは続く。外国との戦いなら、平和条約が調印されれば、その時から爆弾が飛んでくることは無い。だが、内戦の場合はそうはいかない。軍隊や兵士は、自分たちを養うためにも戦いを止めるわけにはいかないし、利権を得るためには権力を握らなくてはならないからだ。

 常陸軍はシティの選挙を成功させた。選挙権は、住民登録をした18歳以上の全ての日本人と外国人に与えられた。

だが、軍隊の中にも住民たちの中にも、様々な差別が存在し、それが争いの一つの種になった。最初は、ゲイの兵士への虐待と差別。常陸軍や外人部隊にもそれはあったが、海人達は差別を許さず、差別主義者を排除し、部隊を編成しなおした。

だが、ゲイを標榜する指揮官が率いる「黒い旅団」が現れた。彼らは、男であることを強調し、女は守られるべきであり、戦闘に女は参加すべきでないとしていた。彼らは、有能な指揮官の下で勢力を増し、松本・甲府から中部へと攻め入り、各軍隊のゲイ兵士と呼応して内部分裂をさせて勝ち進み、とうとう首都圏へとやってきた。

対するは常陸軍と同盟の4軍。彼らは、首都圏を守ることができるのだろうか?。

この本を読んで、今のイラクの情勢を考えた。確かに戦争は終わったが、テロと内乱は未だ続いている。この本に書かれているのは、架空の日本だが、世界各地ではこれと同じような戦闘が続いているのだ。

ここに書かれているのは、性差別とジェンダーによる嗜好の差別。ほんのちょっとしたことでも、差別の対象にはなる。人種差別、民族差別、宗教差別、等々。全ての差別を許さず、公平な選挙を行い、平和な国を取り戻すのは簡単なことではない。

ここには、アメリカの武器商人も出てきた。一世代も二世代も前の古ぼけた武器。それはアメリカ軍には売れないが、遅れた紛争地域になら売れる。そうやって、売られた武器で多くの人々が傷つき、死んでいく。それも、やはり世界の現実だ。

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コメント

マサエ。さんこんにちは♪
裸者と裸者の続きがあるのですね。
そんなに戦いが続くんだ(>_<)
少しさわりを読み始めました。読むのに時間が掛かりそうです。

差別。自分が優位に立ちたいがため、自分に自信が持てない者が持つ感情だと思っています。人を見下げて見る人って軽蔑です。一番嫌いかも。
そういう感情を持たないためにも常に自分を磨いていかなければと思っています。なかなか難しいですがf^_^;

投稿: あばた | 2009年7月 3日 (金) 17時16分

孤児軍隊とか、宇都宮、仙台とか、馴染みのある固有名詞が出てくるとリアリティが出てきますね。ゲイという影の部分にあえて深く入ったことが印象的に感じました。

イラクは、自分は戦争は終わっていないと思ってます。
たしかに冷戦以前の見方で行けばこのイラクの戦争は終焉してるとも思いますが、現代とそして未来に渡って、戦争の主流は内戦とテロとになっていくように感じてます。

イラクの戦争いまだ終演せず、そう思っています。

投稿: lastsmile | 2009年7月 3日 (金) 17時56分

 あばたさん、こんにちは。
 三部作ですから、未だ続きがあります。戦争、特に内戦を終わらせるというのは、大変なことなんですね。武器を捨て生活の糧を得ること、先ずその手段を見つけなければならない。海人も椿子も、その方策を探っています。
 差別ってほんとうに難しい。自分の中にそういう感情が皆無だとは言い切れません。でも、表面に出さないよう努力することはできると思います。
 でも、ゲイ差別というのは、私には理解不能。外見では分からないし、男性が女装したって、誰に迷惑をかけるわけじゃなし、と思うのですが。でも、ミルクっていう映画もありましたよね、あばたさんが見られた。自分の死さえ覚悟して、カミングアウトする。かなり根強い差別かもしれません。

 lastsmileさん、こんにちは。
 日本の地名が付いた軍隊、確かにリアリティがありますね。軍隊が国道○号線を通って行くとか、△川に沿って陣地を築くとか、つい地図を思い浮かべてしまいます。
 イラク戦争、アメリカは撤退するようですが、国としてまとまるには、未だ未だ年月がかかりそうですね。内乱状態はいつまで続くのでしょうか。

投稿: マサエ。 | 2009年7月 4日 (土) 10時32分

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